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ツバメ物語・空を夢見た子ツバメ [ツバメ物語]

□□□□□ ツバメ物語 □□□□□
(空を夢見た子ツバメ)


-助けることの出来なかった、小さな命-

私たちが買い物に出かけて、帰ってきたときでした。
玄関の上にある巣が少し崩れて、そこにいたはずの子ツバメたちの姿が見えなかったのです。

「あれ?、みんないないね。」
「飛ぶ練習に、行ったのかな?」
「巣立っちゃったのなら、淋しいね。」
「巣、崩れちゃったから飛び出したのかな。」

そんな会話をしながら、心配していました。
それから、15分くらいしてからでした。

ご近所で保護された、1羽の子ツバメが届けられたのです。

「死んじゃうの?」
「元気ないよ!」
「大丈夫かな?」

男の子が、心配そうに言いました。

「ありがとう。」
「きっと、大丈夫だよ。」
「親ツバメが、何とかしてくれるからね!」

そんな気持ちから、親ツバメに戻すのが良いと考えました。
それ以外の方法が、検討つかなかったのです。

男の子のお母さんのお話はこうでした。
我が家の玄関から子ツバメを咥えたカラスが飛び出し、空中高くより落としたところを、たまたまそれを目撃した方が拾い上げてくださったとのことでした。
お散歩途中だったので、どうしてよいか分からず託されたとのことでした。

手厚く保護された子ツバメでしたが、 小さいその命は皆の期待には応えられませんでした。
子ツバメは、大空に1度も飛び立つことが出来なかったのです。

「ごめんね!死んじゃったんだ。」
「せっかく助けてくれたのにね。」

「可愛そうだったね。」
「もう少しで、飛び立つことが出来たのにね。」

男の子のお母さんに、報告しました。

その後の巣には、もうツバメは戻って来ませんでした。

---つづく---


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